これまで、CV数増加を目指した広告運用がなされてきましたが、プライバシー保護規制が厳しくなりユーザーのトラッキングに依存したパフォーマンスマーケティングは終焉を迎えようとしています。プライバシー保護規制法が広告運用に与える影響と、どんな広告運用が今後求められるのかについて詳しく見ていきましょう。
プライバシー保護規制の影響
2018年5月にEUでGDPR(General Data Protection Regulation)という個人データの取り扱いに関する新たな基準が設けられました。
これにより、Cookieやトラッキング技術を使用してユーザーを識別し、ユーザーの情報を収集する場合、GDPRの規則に則りCookieの使用に関してユーザーより同意を取得する必要があり、以前のようにユーザーの一人一人にパーソナライズされた広告を出すことが難しくなりました。
これまでマーケターはCookieに依存してユーザーをターゲティングし、クリック数やCV数の増加など即時的な成果を得ることを目指してきましたが、プライバシー保護規制の法律に則るため、これまでのパフォーマンスマーケティングからの脱却を求められています。
パフォーマンスマーケティングからブランドマーケティングへの転換
コンバージョンやリード、売り上げなど即時的な結果に重きを置いた従来のマーケティング手法をパフォーマンスマーケティングと言いますが、この手法から脱却し、ブランドマーケティングという広告運用の手法に転換が求められています。
ブランドマーケティングとは、サービスの独自のアイデンティティを作り上げ、ユーザーの感情的なつながりによりユーザーの認知を獲得し、長期的な信頼を育みながらブランドのファンを生み出すマーケティング手法です。
ブランドマーケティングの広告の代表例がKitkatの広告です。Kitkatでは例年受験の時期に、受験生を応援するメッセージを込めた、感情的に訴えかける広告がテレビやYoutubeなどの媒体で配信しています。受験生の子供を陰ながら応援するお母さんや友達同士でパッケージにメッセージを書いて交換しお互いを鼓舞しながら受験に挑戦する姿を描いた広告に、多くの人は感情を揺さぶられた経験があるのではないでしょうか?
このようにユーザーと感情的に繋がり、長期的にユーザーと関係を構築していくマーケティング手法がブランドマーケティングです。
ブランドマーケティングでは、パフォーマンスマーケティングと異なり、せっかく企業やサービスが持っているユニークな特徴を消してユーザーの好みにパーソナライズさせたり、即時的な成果を生み出すために「いますぐクリック」などの潜在層が煩わしく思うメッセージを発信する必要がありません。そのためブランドマーケティングでは競合と差別化を図りながら、潜在層のユーザーの認知を獲得し、ユーザーとの関係を構築することができます。
ブランドマーケティング広告の効果測定はどのように行う?
CTRやCV数などエンゲージメントを測る指標はブランドマーケティングにおいても重要な指標ですが、ユーザーとの長期的な関係構築にどれだけ広告が関与しているかに関して、どのように効果を測定できるのでしょうか?
①ブランド認知度
ユーザーがブランドに抱く具体的なイメージに焦点を当てた、信頼性や価格的なイメージなどブランド認知についての調査で、インタビューやアンケートによって、ブランド認知を測ることができます。
②顧客ロイヤリティ
既存顧客のロイヤリティやリピート購入の度合いを測る調査で、顧客維持率や顧客満足度調査によって測定することができます。
【まとめ】
これまでパフォーマンスマーケティングという手法で、マーケターは言わば盲目的にコンバージョン数やクリック数など目の前の成果を広告で追い求めてきましたが、プライバシー保護規制によってその手法の転換が求められました。「最終的にユーザーに購入したいと思わせる広告」という本来の広告の目的に立ち返って長期的な視点でブランドマーケティングの広告行うことが今後のマーケターに求められるのではないでしょうか?
参考文献
パフォーマンスマーケティング の終焉か。「注目」は集めにくく、顧客は離れていく
https://digiday.jp/brands/its-just-going-to-be-a-competition-of-attention-why-performance-marketers-are-shifting-their-prioritizes-to-build-the-brand/
Brand Marketing vs. Performance Marketing
https://www.linkedin.com/pulse/brand-marketing-vs-performance-simon-kingsnorth